演劇

サロメ

言わずと知れたオスカー・ワイルドの傑作である。リヒャルト・シュトラウスによってオペラとして仕立て上げられ、欧州では人気演目として、広く音楽ファンに親しまれている。一方、これを舞台劇として上演することもよく行われている。今回、新国立劇場で上…

賢治の声を聴く

宮沢賢治の作品を朗読するという催事*1が世田谷パブリックシアターで開かれている。いつもは静かに目で追いかける世界を、声という肉体に直接結びついたメディアで味わう時間は格別なものだった。 公式サイト http://www.siscompany.com/kotoba/ 38人の俳優…

現在地@チェルフィッチュ

独特の踊るような奇妙な所作とミニマルミュージックのような台詞回しで舞台を構築するいつもの手法ではなかった。一見、ある役柄を特定の俳優がストレートに演じるというオーソドックスなスタイルに映る。しかし、どこかにざらりとした違和感を覚える不可思…

サド侯爵夫人

それなりの時間で終わるだろうから、お腹をすかせていても大丈夫と高を括っていたら、なんと3時間半(含む休憩時間)を優に超える大長編で、終演時間は22時(18時30分開演)を大きく回っていた。もうお腹ぺこぺこでお尻も痛い。おまけに真後ろの初老の男性…

その妹

明治から大正の頃の「日本人」を描く。ことさら「日本人」としたのは、他者との相対的な距離感や社会における存在意義を模索する登場人物の姿に、個を超えた類型を感じたからである。絶滅間際の恐竜のごとき華族の思考や行動、夢見がちな世界に居ながら権力…

恒例の忠臣蔵

今年も職場の顧客を引き連れての歌舞伎鑑賞にでかける。12月は時節柄どうしても忠臣蔵ものになってしまう。しかし、歌舞伎以外でも活躍する高名な俳優が登場するので、ミーハーな私にはちょうどいい塩梅である。今年の出し物は真山青果の「元禄忠臣蔵*1」で…

クレイジーハニー

このご時勢に「つながることは暴力だ」と訴えるのにはずいぶん勇気がいったことだろう。人と人が力を合わせる、人と人が理解し合う、誰もが涙する美談には欠かせないことかもしれない。しかし、そういうものを信じ平然と他者に要求したり期待したりするのは…

ゾウガメのソニックライフ

昨年5月以来のチェルフィッチュ*1の公演に接する。会場はオープンしたばかりの神奈川芸術劇場*2である。やけに人が多いなと思ったら、某J事務所のタレントが主演する公演が同じ場所で催されていたのだった。ふん。 満ち足りた生を送りたいものです。それに…

まさにその日に忠臣蔵

毎年恒例の職場の催事である歌舞伎鑑賞会があった。冷たい雨に濡れながら国立劇場*1に向かう。 今年の師走公演は「仮名手本忠臣蔵*2」である。定番中の定番だ。毎年この時期に必ずしも忠臣蔵をかけるわけではなく、2006年の真山青果「元禄忠臣蔵」、2007年の…

劇団、本谷有希子「甘え」

自意識が過剰なのに、否、過剰なばかりに、まったく自分が見えなくなってしまっている人々が、壮絶かつ滑稽な鬩ぎ合いをする。 物語が前に進んでいるのかどうかよくわからない舞台*1を見た後なので、物語らしきものがそれなりに形になっていることに少し安心…

ホットペッパー、クーラー、そしてお別れの挨拶

2月の「わたしたちは無傷な別人であるのか?*1」公演時に先行販売していたチケットを握りしめて、初めてラフォーレ原宿に足を踏み入れる。 チェルフィッチュ*2の新作は「ホットペッパー」「クーラー」「そしてお別れの挨拶」の三つの短編を一つの作品として…

わたしたちは無傷な別人であるのか?

チェルフィッチュ*1の新作公演「わたしたちは無傷な別人であるのか?」を横浜で観てきた。STスポット横浜*2という客席数50ほどの小劇場に足を踏み入れると、すでに演劇特有の濃密な気配が立ちこめている。期待感はいや増すばかり。 舞台は2009年8月最後の週…

あふれ出る言葉の渦と日常

またしても演劇舞踊に詳しい知人に教えてもらったもので愉快な時間を過ごす。 岡田利規が主宰する演劇カンパニーとして設立されたチェルフィッチュは、「自分本位という意味の英単語セルフィッシュが、明晰に発語されぬまま幼児語化した造語であり、現代の日…

来来来来来

やっと取れた「劇団、本谷有希子*1」のチケットを大事に握りしめて*2、下北沢の本多劇場*3に赴く。本谷の小説や映画や舞台のDVDはさんざん読んだり見たりしてきたけれど、ついに念願がかない、初の生鑑賞である。 女性六名だけで演じられる物語は、少々奇…

楽屋

昨晩、たまたまつけたテレビでやっていた「タモリ倶楽部」を見るともなく見ていたら、乗車券を取るのが至難といわれる寝台列車カシオペアを特集していた。乗りたいと思ってもちょっとあの争奪戦は勝ち抜けそうにない。大阪からのトワイライトエクスプレスも…

師走に舞う桜吹雪

所属する部署の行事で国立劇場*1に行ってきた。毎年恒例の歌舞伎鑑賞会である。今年の12月の演目は「遠山桜天保日記*2」(竹柴其水作)、ご存じ遠山の金さんである。演じるのは音羽屋、尾上菊五郎である。寺島しのぶの父ちゃんを初めて生で見て興奮する。も…

本谷三昧@DVDだけど

一昨日に続いて本谷有希子ネタ。かねて本谷の劇団*1の舞台を観たいと思いながら、これまで果たせずにいる。たいそうな人気でチケットはプラチナ化し、容易に手に入れられないようである。「ちぇ」などと吐き捨てながら、歯噛みしていたところ、第10回鶴屋南…

歌舞伎を観た

年に一度の職場の行事である。顧客を引き連れて国立劇場*1で歌舞伎を観る。引き連れるといっても、現地集合現地解散、歌舞伎自体は勝手に観るというまったくもってなんだそれはという感じだろうが、これもお仕事なのであった。 12月に行くと、たいていは忠臣…

服部良子の訃報

劇団四季の服部良子が亡くなった。「キャッツ」のジェニエニドッツ役で何度楽しませてもらったことか。ご冥福をお祈りする。 劇団四季のお知らせ http://www.shiki.gr.jp/navi/news/000804.html

元禄忠臣蔵

国立劇場*1で歌舞伎を観劇する*2。昨年は10月に催されたのであるが*3、今年は諸般の事情により12月公演を観ることになった。出し物は真山青果の「元禄忠臣蔵*4」である。国立劇場では10月から12月までの三ヶ月間で、1934年の初演以来初めて全編を通して上演…