東京で東大寺を見る

morio01012010-10-20

今年の東京国立博物館東大寺である。昨年は興福寺、一昨年は薬師寺であったから、奈良の大古刹が続いて帝都に招かれたことになる。
しかし、今年の「東大寺大仏 天平の至宝」展が過去二年のものと決定的に違うのは、名前だけで高い集客力を誇るアイドル仏像がやってこないことである。昨年はエースの阿修羅を筆頭に八部衆十大弟子たちが勢揃いしていたし、一昨年は日光月光の両菩薩にクールビューティ聖観音菩薩が見参しており、いずれも記録的な動員となったことは記憶に新しい。
それが今回の東大寺展では目玉は八角燈籠と不空羂索観音の光背である。どうしてモノなの。あとは「やぁ」と声を出しそうな誕生釈迦仏立像とアフロヘッド五劫思惟阿弥陀如来座像、オッサンくさい試みの大仏、渋すぎる重源上人坐像くらい。全体的には美を愛でるというより値打ちのある歴史的史料*1に感心することを求められているような印象を受けた。やはりどっぷりと感情移入できる大物がないと、どうしても盛り上がりや華やかさに欠けてしまう。もちろん好き嫌いということではなく、価値という点からすれば、立派なものだろうけれども。バーチャルリアリティ映像「大仏の世界」はそこそこ楽しい。
それにしても、である。さすがに大仏様は動かせないから無理としても、不空羂索観音をはじめとする法華堂の仏様達、戒壇堂の超イケメン四天王*2、南大門の金剛力士、これらをいっぺんに持ってきたら、それはもうきっとすごいことになるだろう。そういう贅沢すぎる空間を味わってみたかった。工芸品には萌えられないのよ。
昨年は海洋堂謹製の阿修羅フィギュアを買いそびれて、たいへん悔しい思いをした。今年はフィギュア予約付き前売券をしっかり購入し、無事に「やぁ」の人を手に入れることができた。家に持ち帰り、さっそくエヴァ三人娘に歓迎させてみたのだった。12月12日まで。きっと最後まで人は少なめだと思います。

*1:瓦とか壺とか玉とか端布とか、むーん

*2:そりゃまぁ塑像は運べないでしょうけどね