スカイ・クロラ

スカイ・クロラ [DVD]ネットでの評判が芳しくないのでどうなんだろうと思いながら、観た。押井守の作品は映画版「攻殻機動隊」シリーズしか知らないけれど、「スカイ・クロラ」だけがなぜあそこまで酷評を受けるのか、理解できなかった。つまりは気に入ったということである。それもおおいに。
世評の高い「攻殻機動隊」シリーズに比べ、余白の多い映画である。物語の根幹に関わることであっても説明されないことがかなりある。酷評の多くはその部分を問題視して難解だの独りよがりだのと書き立てているけれど、それらは自らの理解不足や想像力の欠如によるものではないのか。あの余白を味わわなくて、この映画の最良の部分(あるいは核心)を掬い取ることはできないと思う。しかもそういう自ら作品に関わっていく行為こそが芸術作品を鑑賞する時の最大の喜びであるのに。もったいない。森博嗣の原作との関係も考えに入れるべきかもしれないが、忠実だろうと改変されていようと、それ自体は映画の瑕にはならない。

「もう一度、生まれてきたいと思う?」
完全な平和が実現した世界で、大人たちが作った「ショーとしての戦争」。そこで戦い、生きることを決められた、子どもたちがいる。思春期の姿のまま、永遠に生き続ける彼らを、人々は”キルドレ”と呼んだ。(DVDパッケージの梗概)

  公式サイト http://sky.crawlers.jp/tsushin/
上記サイトで5分40秒もの予告編を観ることができる。ここで映像化されている空気感や気配、感情、質感に惹かれるものがあるなら、きっと本編でも感じ入る何かを見つけることができるだろう。感じる、想像する、考えることを大切にする人にお奨めする。
以下、付け足し

  • 音響が抜群によい。家庭で鑑賞するならヘッドホンで小さな環境音まできちんと味わいたい。
  • Blu-rayを手に入れたいと思ったけれど、DVDより3000円も高い。なぜこれほどの価格差をつけるのか。
  • 声は実写俳優より声優専業者を使ってほしい。このままでも悪くはないけど。