軽蔑

やたらと寺島しのぶを脱がせている印象のある廣木隆一監督の最新作は中上健次の同名小説を原作とする。今回は鈴木杏に体当たりの演技をさせていて吃驚させられる。「花とアリス」(岩井俊二監督)のハナちゃんの面影や気配はもはやどこにもない。ないないない。
どんどん身を持ち崩していく男。そしてそれに巻き込まれていく女。二人とも一途な思いは確かにあるのに、ことごとく不正解な道を選び続ける。「不幸はこうしてできあがります」という見本市のような男女の人生を描いている。見ていて辛いこと、このうえなし、である。当事者以外の第三者にははっきり認識できるような駄目っぷりということでは、子供の頃に見ていたドリフターズのコントのお約束の展開が思い出された。「あー、カトちゃん、後ろ!後ろ!!」の世界である。
歌舞伎町の猥雑さや新宮の辺境感がライブな感じを強く印象づける。あとは「途中に出てくる小道具は必ず誰かに使われることになる」という凡庸な黄金律が少し興醒めとなった。梅田ガーデンシネマで鑑賞。

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