大阪・信頼・信用

大阪人 2011年 09月号 [雑誌]おおきなかぶ、むずかしいアボカド 村上ラヂオ2前号から新創刊となった「大阪人」の第二号を手にする。特集記事は大阪市内24区の紀行である。
大阪市内で生まれ育った者には文章から滲み出る「大阪の香気」に堪らない思いがする。体の奥底を突かれるような感触とでも言えばいいだろうか。この先、定年まであるいは死ぬまで東京にいたとしても、東京を記した文章からこういう気持ちはきっと得られないだろう。こればかりはどうしようもない。
村上春樹の新刊エッセイに長嶋茂雄のことばが引かれていた。「信頼すれども信用せず」というものだけれど、長嶋にまったく思い入れのない私でも村上の言うように名言だと思う。なんだか私の東京への思いのような……。