島を想う

BRUTUS (ブルータス) 2011年 9/1号 [雑誌]「たとえば、いま、あなたが都会を離れて島で暮らすとしたら。」と表紙に大きく書かれている「BRUTUS」の最新号に目を通すと、やはりこの雑誌は基本的に「ちょっと余裕*1のあるあなたのよりよい生活」を提示しようとしていることが窺い知れる。
都会と避暑地と離島の複数拠点居住とか、無人島を丸ごと買い取りとか、どう考えても一般人のよくするところのものではない。口を糊するための仕事の問題もある。少なくとも所得が安定している自由業(しかも離島や無人島でも成立するもの)でなければ無理だろうし*2。とすると、この特集記事はいったい誰に向けてのものなのだろうという素朴な疑問が湧き上がる。今のこの国にはこの種の行動を起こせる人があまたいるということか。
さらに気になるのは、「地方・自然=善、都会・人工=悪」という陳腐な二項対立の図式が、恥ずかしげもなく全面的に展開されていることだ。これは小学校で使われる国語の教科書の教材などでも問題視されていることであるけれど、そうしたもので学習した知識は潜在的に脳内に巣くい、大人になってからも逃れがたく束縛しようとするということなのだろう。
嗚呼なんだかネガティブ……。写真はとても綺麗だ。そこに行ってみたいと思わせる力がある。文章を読まなければ、しばし現実逃避の旅を楽しめる。
日本の島のことを書いた本なら、だんぜん『SHIMADAS』(日本離島センター)を奨める。残念ながらもう絶版になってしまっているのだけれど。
 七年前に書いた記事→『日本の島ガイド シマダス』

*1:金銭的・精神的・社会的ステータスなど

*2:島に行って職を得るのはその限りではない。が、そんなに簡単に仕事は見つかるのだろうか