桑畑とか椿とか

用心棒<普及版> [DVD]椿三十郎<普及版> [DVD]暑苦しくない黒澤映画を二本観た。「用心棒」と「椿三十郎」、いずれも生真面目に時代劇を作ったというより、娯楽に徹した割り切りが好もしい。
三船敏郎演じる「三十郎*1」がどちらの作品でも活躍をするので、一続きのシリーズものかと思いきや、どうも江戸中期と幕末で時代がずれているようである。登場人物も三十郎以外に重なるものはいない。しかし、少なくとも表面的には続き物にしか見えないし、それでいい、というか、そのへんはどうでもいい。この両作で楽しむべきは、登場人物たちの濃いキャラと勧善懲悪をベースにしたわかりやすい物語から来る爽快感であろう。
時代劇の演出方法として「現実の格闘ではあり得ない舞踊的表現を排除したリアルな殺陣」(wikipedia)を目指したというが、時代劇に不勉強な私には彼我の違いはよくわからなかった。ただ派手な血飛沫や刀の斬殺音、すれ違いざまの斬り合いから片方が倒れるなどの演出は、この両作品を嚆矢とするらしい。もはや時代劇の殺陣のステレオタイプの最たるものですね。
どうせなら三十郎でもっといろいろなドラマを見せてもらいたかった。テレビドラマ化もいけると思う。

*1:「用心棒」は桑畑三十郎、「椿三十郎」はタイトルと同名の浪人が活躍する