矢野上原の力業

morio01012011-09-09

昭和女子大学人見記念講堂矢野顕子上原ひろみの共演があった。思えば、初めて上原ひろみの生演奏に接したのが、今日と同じ場所での同じプログラムだった。
2006年12月8日の日記「矢野顕子×上原ひろみ」
聴きたくて聴きたくて仕方のなかった上原のピアノを間近で聴いて、感激しきりだったことをはっきり覚えている。そこからすっかり追っかけのようなものになってしまい、今に至る……*1。矢野との共演の二回目は2009年の東京ジャズだった。この時も怒濤のライブとなった。
2009年9月4日の日記「アイロンでラーメン」
「Recording LIVE in Tokyo ~ Get Together~」と題された今日のライブは、この秋に発売になる二人の新しいアルバムの録音のために催された。開演前から念入りに各種のお願いが流れ、客席はいつもと違う緊張感に包まれていたように思う。それでも演奏が始まると、あれこれのことは忘れて、流れてくる楽の音に身を任せるばかりだった。アップテンポな曲もスローなそれも全力で剛速球を投げ込む上原と、緩急自在に声と鍵盤を駆使する矢野の丁々発止がおもしろい。共演も数を重ねることで、ますます「阿吽の呼吸」的な妙が楽しめるようになっている。ピアノ*22台と矢野の声だけなのに、音圧がとんでもなく高い。二人のオーラごと客席まで飛んできている感じがする。
熱狂のうちにセットリストを一通りやり終えた後、アンコールの拍手に呼び出された矢野は「ちょっとまずいところが……」と言い出した。そして二人はほとんどの曲を再度演奏したのである。ライブ2本である。なんだか申し訳ない気がしたけれど、プロの矜持が納得できない演奏は記録として残したくないと考えさせたのだろう。「Children in the Summer」「あんたがたアフロ(あんたがたどこさ〜アフロブルー)」「Capecod Chips」「月と太陽」「ラーメン食べたい」などの他、上原のソロアルバムに収録している「Green Tea Farm」までおまけでやってくれた。もうお腹いっぱいである。極端に緊張感の高いライブだから、終わるとヘトヘトになるのだ。いいものを聴かせてもらいました。
このライブを収録したアルバムは11月23日に発売になる。さらに12月には二人で全国を回るツアーも予定されている。行かねば。
追記:開演前、終演後に会場に流れていたのはレイ・ハラカミ*3だった。矢野さんなりの哀悼の意なんだろう。

*1:いったい何度ライブに足を運んだことやら

*2:ヤマハの最高級ピアノCFX ★上原のCFX演奏の動画もあり

*3:yanokami「終りの季節」