素晴らしき日曜日

素晴らしき日曜日<普及版> [DVD]終戦から間もない東京で、超ネガティブな男と超ポジティブな女が日曜日ごとの逢瀬*1を重ねる。二人の所持金は今のおよそ3500円ほど。蓄えさえあれば、今すぐにでも同居し結婚もしたいのにそれができずにいる。
「だめだ」「いいえ、大丈夫」「もういやだ」「何を言うの、できるでしょ」などの押したり引いたりの問答が延々と続く。なんだ、お前ら。悲哀に満ちた内容なのに、どうにも哀しさが持続せず、思わず吹き出したくなるような凸凹カップルである。黒澤明の意図とはまったく違うと思うけれど。そもそも笑うような映画ではない。
何事も悪く悪く考えるのに、妙な見栄だけは張りたがる男にむかつきながら、中北千枝子演じる女のビジュアルが好みではなく、まったく同情することができない(←何という理由!)。仰々しく鳴り響くシューベルト交響曲が「未完成」であるのは、二人の将来を暗示しているのだろうか。ラスト30分で繰り広げられる二人の妄想モードがすごい。1947年の作品。

*1:ランデブーと言っている、デートではなく