云十年を巻き戻す

morio01012011-09-27

5月に予定されていたTOTOのライブは、震災の影響で秋まで延期となった。ほとんど忘れかけていたのは内緒だ。日本では6公演するのだけれど、かつてのTOTOを知っている者としては、どの会場もなんだか箱が小さくて哀しい*1。全盛期なら軽くドームツアーいけたでしょ。
今回のライブは病を得た元メンバーのマイク・ポーカロの支援のためだという。デヴィッド・ペイチやスティーヴ・ポーカロらのオリジナルメンバーが復帰したのも、そういう事情がある。再活動の経緯はともかく、TOTOの初期から中期に親しんだ者としては喜ばしい限りである。できればボーカルもボビー・キンボールだとよかったのだけれど、贅沢は言うまい。
定刻より10分ほど遅れて、ライブの幕が切って落とされた。一曲目の「Child's Anthem」ですでに胸がいっぱいになる。音圧が高くて耳がとても痛い、でも懐かしくて嬉しい。メンバーの見た目が微妙に「樽化」してしまっているのはいたしかたない。セットリストは、ジョセフ・ウィリアムズがボーカルとして在籍していた6作目と7作目を中心にして、最大のヒットアルバムである4作目を絡めて組まれている。今回のツアーメンバーを考えると、妥当なところだと思った。「Africa」や「Rosanna」はやっぱりおおいに盛り上がっていた。マイケル・ジャクソンを偲んで演奏された「Human Nature」(スティーブ・ポーカロ作)も心に深々と染みた。
それにしても、である。「Child's Anthem」や「Georgy Porgy」「Hold the Line」などの初期作を聴くと、確実にその当時の出来事が脳裏に甦ってきて、たまらない気持ちになる。単なる懐メロとか、そういう次元では片付けられない、特別なバンドである。
ファーギー・フレデリクセンを二代目ボーカルとして立てて来日した時以来のTOTOのライブだった。おそらくもう二度と彼らの生演奏に接することはないだろう。年末の上原ひろみのライブに参加するサイモン・フィリップスのドラムで、今日の残り香を楽しむことにする。

TOTO in Concert 2011 日本武道館

  • Child's Anthem
  • Till The End
  • Afraid of Love
  • Lovers in the Night
  • Somewhere Tonight
  • Pamela
  • Lea
  • Gift of Faith
  • Keyboard Extravaganza
  • Africa
  • Human Nature
  • Rosanna
  • Georgy Porgy
  • Stop Loving You
  • Home of the Brave
  • Hold the Line (encore)

Steave Lukather / David Paich / Simon Phillips / Steve Porcaro / Joseph Williams / Nathan East