云十年を巻き戻す
5月に予定されていたTOTOのライブは、震災の影響で秋まで延期となった。ほとんど忘れかけていたのは内緒だ。日本では6公演するのだけれど、かつてのTOTOを知っている者としては、どの会場もなんだか箱が小さくて哀しい*1。全盛期なら軽くドームツアーいけたでしょ。
今回のライブは病を得た元メンバーのマイク・ポーカロの支援のためだという。デヴィッド・ペイチやスティーヴ・ポーカロらのオリジナルメンバーが復帰したのも、そういう事情がある。再活動の経緯はともかく、TOTOの初期から中期に親しんだ者としては喜ばしい限りである。できればボーカルもボビー・キンボールだとよかったのだけれど、贅沢は言うまい。
定刻より10分ほど遅れて、ライブの幕が切って落とされた。一曲目の「Child's Anthem」ですでに胸がいっぱいになる。音圧が高くて耳がとても痛い、でも懐かしくて嬉しい。メンバーの見た目が微妙に「樽化」してしまっているのはいたしかたない。セットリストは、ジョセフ・ウィリアムズがボーカルとして在籍していた6作目と7作目を中心にして、最大のヒットアルバムである4作目を絡めて組まれている。今回のツアーメンバーを考えると、妥当なところだと思った。「Africa」や「Rosanna」はやっぱりおおいに盛り上がっていた。マイケル・ジャクソンを偲んで演奏された「Human Nature」(スティーブ・ポーカロ作)も心に深々と染みた。
それにしても、である。「Child's Anthem」や「Georgy Porgy」「Hold the Line」などの初期作を聴くと、確実にその当時の出来事が脳裏に甦ってきて、たまらない気持ちになる。単なる懐メロとか、そういう次元では片付けられない、特別なバンドである。
ファーギー・フレデリクセンを二代目ボーカルとして立てて来日した時以来のTOTOのライブだった。おそらくもう二度と彼らの生演奏に接することはないだろう。年末の上原ひろみのライブに参加するサイモン・フィリップスのドラムで、今日の残り香を楽しむことにする。
- Child's Anthem
- Till The End
- Afraid of Love
- Lovers in the Night
- Somewhere Tonight
- Pamela
- Lea
- Gift of Faith
- Keyboard Extravaganza
- Africa
- Human Nature
- Rosanna
- Georgy Porgy
- Stop Loving You
- Home of the Brave
- Hold the Line (encore)
Steave Lukather / David Paich / Simon Phillips / Steve Porcaro / Joseph Williams / Nathan East