たまたま

絵本に出てくるような物語を実写で見ると、どこか気恥ずかしく、落ち着かない気分になる。たとえ主演が蒼井優であったとしても。
映画の冒頭でメタ言語的な解説が入って、捻った作りの映画化と思いきや、その先はひたすらファンタジックな展開となり、しかも相田みつを的な教訓めいたことを臭わすものだから、もうどうしてよいのかわからなくなった。にんげんだもの……。たまたまの積み重ねで人生はできており、しかし、そのたまたまの積み重ねは決してたまたまではないのだよ、とこういうことなのだろう。
舞台になったアイルランドの風景がとても美しい。控えめに流れるSigurRosも映像によくマッチしている。もうちょっとストレートでストイックな脚本だったらよいのになぁ。渋谷シネクイントで鑑賞。