年度終わりの新年度

在原元方は「年のうちに春は来にけりひととせを去年とやいはむ今年とやいはむ」(古今和歌集・春上)と詠んだ。「ふる年に春立ちける日よめる」という詞書を持っている。暦の上ではまだ新年の正月を迎えていない旧年のうちに立春を迎えたことを言う。この時間感覚を、藤原俊成は絶賛し、正岡子規はこき下ろした。まぁ人それぞれということで。
今日は今年度の最後の日である。その日に新年度からの「役割」の辞令交付があった。同じような立場の人たちが集められた部屋で、在原元方の心境を思いながら、退屈な時間をやり過ごす。別に風流でも何でもない会議室が、少しは文化的な空間に感じられた(というのは言い過ぎ)。
かつての顧客が訪ねてきてくれた。ついつい話し込んで、気がつけば2時間ほどが経っていた。少し心が軽くなって、「新年」を迎えられそうである。