アンリ・カルティエ=ブレッソン 瞬間の記憶
晩年のアンリ・カルティエ=ブレッソンが自作を見せながら撮影当時の思い出や写真そのものについて語る。「美しい配列を生む瞬間を注意深く観察せよ」というブレッソンのことばは、まさしく彼の写真の魅力の核心を衝いている。
貴重な映像であることに疑う余地はないが、ドキュメンタリー映画としてさして優れているとは思えなかった。良くも悪くもスライドショー的。老いの繰り言とまでは言わないまでも、それに近いものを感じる。つまらないということではないんですけどね。背後に流れる思わせぶりなバッハやモーツァルト、ラヴェルなども、いかにもなあざとさが目立っていた。