麻生久美子ランキング

楽天ブックスさん、DVD欲しい!」と書いて、何か好きな映画ランキングを公開すれば、いいものが当たるかもしれないということなので、麻生久美子でまとめてみた。まだ立ち上がれないまま。
[rakuten:book:11643064:image:small]贅沢な骨 麻生久美子は不感症のホテトル嬢を演じる。共演のつぐみと永瀬正敏もすばらしい存在感を見せている。三人は怪しい雰囲気を過激に発散し、袋小路に陥ったそれぞれの人生を、あたかも「酸欠に陥った金魚*1」のように際どく生きている。世界を突き動かすような傑作ではないけれど、必ずやこの世界のどこかに存在しているであろう現代の閉塞感を見事に映像化していると思った。行定勲監督。
カンゾー先生 [ 今村昌平 ]カンゾー先生 1998年度の邦画の上位に必ずランキングされる作品である。麻生久美子出世作で、この年の映画賞新人賞を田中麗奈(「がんばっていきまっしょい」)と分け合った。演技の成熟度という点で見れば遙かに麻生が田中を凌駕している。いかにも映画界の俳優という印象を与える。今村昌平監督にだまされたという麻生の「お宝映像」あり。坂口安吾原作。
ひまわり [ 麻生久美子 ]ひまわり 初期の行定勲監督はよく麻生を主演にして映画を撮っている。麻生の演じる主人公真鍋朋美が海難事故に遭い、行方不明となってしまう。物語は彼女の通夜・葬式に集まってきた人々(中心になるのは小学校時代の同級生達)の記憶を寄せ集めていくことで進んでいく。ほとんどつきあいのなかった真鍋朋美に対して、最初は冷淡な態度を取っていた友人達であるが、さまざまな視点から捉えられた彼女の断片が次第にまとまった形となってくると、全員の心の中には確かな揺らぎが生じていた。そのあたりのうねりがよく描かれていると思う。
CASSHERN [ 紀里谷和明 ]CASSHERN 世評のすこぶる悪い映画である。竜の子プロ制作の原作アニメからはキャラクターや枠組みを借りるだけで、内容は大きく異なる。ヒーローが活躍する勧善懲悪ものではなく、相対的な正義を巡ってさまざまな立場の人間どもがぶつかりあう厭世的な気配を描く*2。賛否のわかれる特殊映像は、私はとても美しいと思う。ヒロインを務める麻生は神々しいまでの美を見せている。紀里谷和明監督。
[rakuten:book:11525930:image:small]ハサミ男 少女の喉にハサミを突き立てるという手口の連続殺人事件が起きる。その犯人の二人を麻生久美子と豊川悦治が演じる。しかし、社会問題化したところで模倣犯が現れる。真犯人による模倣犯探しの結末やいかに、というミステリーである。ともに演技巧者である麻生とトヨエツの形象化する陰鬱な凄みがすさまじい。殊能将之原作、池田敏春監督。
[rakuten:book:11815347:image][rakuten:book:12075607:image]もちろん、この二つもお勧めである。映画じゃないけど。

*1:ミキサーで飼われる金魚が象徴的に登場する

*2:誰かが幸せになれば、誰かが不幸になるという残酷な現実