山の音

山の音 [DVD]「めし」に引き続き夫婦仲のよくない男女を原節子上原謙が演じる。こちらの夫は「めし」の無気力無関心夫とは違い、妻には冷淡、浮気をした相手に暴力をふるうなどする問題児である。
ただこの作品はそれがテーマではなく、その問題児の父親(山村聡)と嫁の間の秘めた情愛を描こうとする。あからさまになにかが起こるわけではないが、少しでも向こう側に落ちるとまずいことになるぞという微妙な関係を保つ。抑制の利いたトーンの中に時折垣間見える熱が印象的である。
エンディングの新宿御苑の並木のシーンが「第3の男」のラストを思わせて素敵だ。原作は川端康成の同名小説。1954年、成瀬巳喜男監督の作品である。
新年度の初仕事をこなす。ガイド役のようなの。明日も続く。