風が強く吹いている

風が強く吹いている [DVD]劇中のレースシーンを見ながら、同じ陸上競技を映画にした「奈緒*1」(古廐智之監督)の酷さを思い出していた。あれは嘘くさくてつまらない映画だったなぁ。
三浦しをんの原作は箱根駅伝や大学陸上部を丁寧に取材したもので、リアリティと娯楽のバランスがたいそううまく取れていた。この映画もそのあたりをよく受け継いでいると思った。何より2時間のうち後半1時間が箱根駅伝のレースに当てられているところに好感が持てる。走る姿をきちんと見せようとしているのだろう。もちろん本業が俳優であるため、ランニングフォームに素人臭さは残るけれど、むしろ陸上未経験集団の挑戦を描くこの映画ではそれがうまく働いているように見える。そしてエースを務める林遣都の素晴らしいフォームが圧倒的な説得力を持つ。逆に走るシーン以外の演技にやや学芸会的なぎこちなさがあったように思う。
お約束の仲間割れや怪我、体調不良なども出ては来はするが、興を削ぐほどのあざとさはなかった。また観客の感情を煽りがちになる音楽(千住明)も控えめなもので好もしい。ライトなスポ根ものとして、まずまず楽しめた。