私と踊って

morio01012010-06-13

ヴッパタール劇団の「私と踊って*1」を新宿文化センターで観た。
劇団創設者のピナ・バウシュは昨年6月に急逝した。主宰者亡き後の劇団はどうなるのだろうと心配してみたものの、そう簡単に消えてなくなるものではない。ドラえもんサザエさんもしんちゃんも健在なんだし。
男女あるいは他者とのディスコミュニーケーションが主題になっている。断絶や拒絶、誤解など、うまく理解し合えない状況は、常に私たちの回りにあるものである。それをメタファーとしての振り付けや小道具で観客に提示していく。いつものように(?)舞台の上はいろいろなものでとっちらかっていく。終演後の舞台はたいそう汚い……、でもおもしろい。
「私と踊って」は1977年に初演されている。この劇団にとっては初期の演目の一つである。全体的に舞踏と言うよりは演劇寄りの構成で、ために台詞@ドイツ語が理解できないと、なんとなく損をしたような気分になる(ちょっと違うか)。「ダンスはことばで言えないすべての感情を表現することができます」とはピナ・バウシュ自身の言であるが、この演目に限って言えば、発せられることばを理解することで、より深く作品のメッセージを受け取ることができたと思う。すべては自分の語学力のなさを恨むことに。
ただ奇妙な動きやダンサー間の関係性を解釈しようと頭を働かせることも、ピナ・バウシュを味わう醍醐味であろうと思う。
  予告編のようなビデオ http://mv-theatrix.eplus2.jp/article/149748112.html