小田急の親子

会議のために遅めの朝の小田急に乗る。9時台の各停ならゆっくり座れるのでありがたい。目の前のシートに親子連れが腰掛けた。子どもは3歳くらいの男の子である。これくらいの子どもは目に映るものは何でも珍しくて、たいていおおはしゃぎする。それで自分の見つけたものをしきりに母親に話しかけるのだが、その母親はずっと携帯でメールを送受信するばかり。私の見ている限り、電車を降りるまで男の子の問いかけに一言も返さなかった。それどころか、視線すら交わさないのである。まったくの無視。母親には火急の用事があったのかもしれない。何か特別な事情があるのかもしれない。でも20分もの間、なんの反応も示さない母親に向かって懸命に話しかける幼児の姿は本当に痛々しかったのだ。