どこまでも濃密な色

Bloody Moon―うまれるまえにみたひかり

Bloody Moon―うまれるまえにみたひかり

息がつまるほどのじっとりとした空気に満たされた写真である。鮮やかな原色がまずは目に焼き付くものの、皮相的な美しさにとどまることはなく、その背後に存在するであろう固有の物語を強く思わずにはいられない。居並ぶ山羊の首を絡め取った一枚など、森山大道の傑作「犬」を思い起こさせるほどの、すさまじい生命感がほとばしっている。感情と思惟がせめぎあう。