プロの仕事じゃない

今月号の「アサヒカメラ」の記事「ベストカメラ・オブ・ザ・イヤー2006 辛口座談会」を読んで気になったことがある*1。評者は、阿部秀之、河田一規、桃井一至、山田久美夫の4名である。ひっかかったのは158ページの次のくだり。

阿部:正直不勉強で、わからないのが多いです。隠れた名品があったら、悪いなって思う。
河田:100機種全部を把握するのは無理でしょう?
桃井:網羅できないですよ。

ベストカメラというのはすべての対象製品から選ばれたものではないのか。自分たちの発言が消費市場に少なからぬ影響力を持つことに対する道義的責任など、どこを探しても見出すことができない。物理的にすべての機種を試すのは確かに無理かもしれない。しかし、そういう狡い部分をあからさまに語り、開き直ってどうするのだ。プロの凄みや矜恃を見せつける気概はないのか。製品を生み出した人たちに対し「隠れた名品があったら、悪いなって思う」の一言ですませてよいものか。こんな手抜き仕事でお金が稼げるなんて、いい商売だなと心底思う。大きなメーカーの新製品を褒めちぎっておけば保身は万全なんだろうね。

*1:別にほしいカメラに反応して気になったのではない