写美で細江英公

朝イチで会議をこなし、昼から恵比寿の東京都写真美術館に行く。目的は二つ。一つは細江英公展を観るため、もう一つは昨日の日記に書いた某写真機の実物*1を見るためである(写美でしか売っていない)。ブローニーを使う針穴カメラはZERO2000とZERO612fの二台を所有しているが、あの長岡製というのは物欲をいたく刺激するのであった。しかし、実機からはグッと来るオーラがあまり感じられず*2、結局見送ることにした。誰か人柱になってみませんか?
細江英公展は生々しいモノクロ写真が次々に迫り来るような写真展で、さりげなさとは対極にある作風は好き嫌いが大きく分かれるのではないかと思われた。私も匿名性や抽象性の高い「おとこと女」や「抱擁」には惹き込まれるものがあったけれど、三島由紀夫土方巽を写した「薔薇刑」「鎌鼬」などはあざとさやわざとらしさが鼻について楽しめなかった。彼らは存在自体が一つの記号と化している。細江の表現しようとしたものを遙かに超えて、三島や土方の個性や存在感が強すぎたということかもしれない。もとより鑑賞者には自由に写真を読む行為が許されているはずで、それを拒否するほどの独自のストーリーを纏っているものが被写体になっているときは、相当に困難なことなのだなとあらためて感じたのであった。
帰りに「ハチミツとクローバー」「カミュなんて知らない」のDVDを買う。前者は映画そのものではなく、被写体ラブ(笑)。
ハチミツとクローバー スペシャル・エディション (初回限定生産) [DVD] カミュなんて知らない [DVD] 写真家・細江英公の世界―球体写真二元論

*1:木箱カメラで名高い長岡製作所が製造する6×9の針穴カメラである。

*2:なんという主観的判断!