クワイエットルームにようこそ

クワイエットルームにようこそ (文春文庫)新大阪に着いたその足で梅田に出て「クワイエットルームにようこそ」(@梅田ブルク7)を観る。芥川賞候補になった松尾スズキの同名小説を原作とする。
冒頭の「全裸でゲロうがい」をどうするのかと思っていたら、うまく回避。まぁ内田有紀にそれはさせられないだろう。かといって誰だったらできるのかと考えてみても、思いつかないのであるが。しかし、その後の展開への導入としては真っ当な造りで、自然に「精神病院女子閉鎖病棟」の中に導かれていった。
閉じられた空間における群像劇である。松尾一流のおふざけ感を演劇的または戯画的に散りばめながら、テンポよく映画の時間が流れていく。思いがけず非日常的な場所に置かれた人間が、初めて自己を相対化する術を得る。その過程における共感と異化のもたらす高揚感と絶望感の鬩ぎ合いがおもしろおかしく描かれていると感じた。前作の「恋の門」よりずっと上等な出来ではないだろうか。
劇場内は若い女性が多かった。しかもカップルではなく、一人とか二人連れとかである。この種のマイナーな邦画好きか、松尾スズキ愛する人たちだとおぼしい。蒼井優目当てはきっと私だけ。
公式サイト http://www.quietroom-movie.com/