奈緒子

akinoringoさんと別れた後、梅田スカイビルのシネ・リーブルで「奈緒*1」(古廐智之監督)を観る。離島の高校の陸上部を描く。つまらなかった*2
原作漫画のことを知らないので、そちらに原因があるのか、はたまた脚本や演出がよろしくないのか、そのあたりはよくわからない。ひとまず映画のみから感じたことを箇条書きで記しておく。以下、ネタばれあり。

  • 「男が表舞台で頑張る、女は裏で支える」という時代錯誤な男女関係に何の疑問も持たない演出が気持ち悪い。男どもは走るだけ、女たちは布団を干し、洗濯をし、食事の用意をする。ごりごりの古臭い固定観念で凝り固まっている。
  • 奈緒子の雄介に対する申し訳なさや気持ちの変化は伝わるが、雄介の奈緒子に対する感情はいまひとつはっきりしない。これは奈緒子の見ているものが雄介だけであるのに対し、雄介はチームや監督など背負うものがいくつもあるためであろう。ヒーローからまっすぐ意識される場面が少ないため、主人公であるはずの奈緒子の存在感が希薄である。作品のタイトルになっているのに。
  • チームが分裂したまま、最後の大会を迎える。結束して一丸となるところが描かれないので、ちっとも感情移入できない。しかも合宿の後半はメンバーの大半はまともに練習していない(はずである)。そんなバラバラかつ練習不足な状態であっさり県大会で優勝する。なんだかなぁ。一人の天才ランナーがすべてを解決するほど、駅伝は簡単なものなのか。
  • ところが、マネージャーの奈緒子の方が天才エースの雄介より走るのが速そうに見えるのである。上野樹里、さすが元陸上部。でも映画としては、まるで説得力を欠く。
  • 難病登場。笑福亭鶴瓶演じる監督(雄介の亡き父の親友)は末期がんに冒されており死期が近い。お涙頂戴の演出としては実に安易である。
  • 悲しそうな場面では悲しそうな音楽が、ドラマチックな場面ではドラマチックな音楽が、盛り上がる場面では盛り上がる音楽が、これでもかという具合に流れてくる。観客の感情を強引に持っていこうとする稚拙さと品のなさ。
  • 若い俳優の一所懸命な表情はよいと思うが、一所懸命さだけなら、本物の高校スポーツを観ればよい。その方があざとさや嘘がない。

同じ監督の「ロボコン」や「さよならみどりちゃん」は楽しめたのになぁ。

*1:公式サイト http://www.naoko-movie.com

*2:私に合わなかっただけである,念のため