誰のことばか

電子辞書の『精選版日本国語大辞典』(小学館)では「国賊」は「国を乱し、世に害を与える者。国家に仇する者。国敵。非国民。」とある。これが『新明解国語辞典 第六版』(三省堂)になると、「〔為政者の側から見て〕国益に反する言動をしているととらえられる人」とあって、どの立場から対象を認識しているのかがはっきり記述されている。翻ってよく考えてみたい。
  今、チベットで起きていることは、果たしてメディアの報じるような「暴動」なのか?
世界史上の数々の「革命」は「暴動」なのか。「独立運動」は「暴動」なのか。それは誰の発したことばなのだろう。
さて、さきほどの「国賊」であるが、やはり『新明解国語辞典 第四版』の説明が最高にいかしている*1

  体制に対する反乱を企てたり国家の大方針と反対したりする、いけない奴〔体制側から言う語〕

「いけない奴」なのである。なんか妙に可愛い。

*1:元ネタは赤瀬川原平新解さんの謎』。職場に置いてある第四版できちんと確認したい