ぐるりのこと。

「ぐるりのこと。*1」(橋口亮輔監督)を観てから、もうすぐ一か月になる。もう忘れてしまいそう。
中年にさしかかる夫婦の物語を描く。悪い映画ではないと思ったけれど、橋口監督がこれまで取り組んできた一連のゲイの映画に比べると、あざとさが目立つような印象を受けた。

普通の夫婦の話を題材にしようと思って。ただ,夫婦やカップルの話って、別れる話になりがちじゃないですか。僕は人との繋がりを描きたかったから、絶対に離れない夫婦の話にしようと思ったんです。(パンフレットの監督インタビュー)

この何があっても離れないという愛情や絆の強さに嘘臭さを感じたのかもしれない。「歩いても歩いても」のように「人間の業」を普遍化するところまでには至っていない。何でも許し、何でも包み込むとは、もはや宗教の世界のように思える。パンフレットにはそれを「本当のやさしさ」なんて書いてあるけれど、そういうのはますます胡散臭い。わかりあっているはずの相手に対して、時に齟齬を感じ、またわずらわしさや鬱陶しさに苛立ったりする。人はそういうめんどくさい生き物ではないのかしら。リリー・フランキー木村多江が夫婦役を好演するも、リリー・フランキー木村多江にしか見えないのがどうにも*2シネマライズで鑑賞。

*1:http://www.gururinokoto.jp/

*2:言いたいこと、わかる?