大阪ハムレット

morio01012009-02-18

銀座で大阪の映画を見る不思議。27日で公開終了となるらしいが、夜の部でもそれなりの観客が入っていた。
原作は「少年アシベ」の作者である森下裕美の同名漫画である。原作を読んだことがないので、映画でどの程度の改変が行われているかは知らない。松坂慶子演ずる母親を核とする5人家族の背景や過去がまったく語られることがなく、各場面がシチュエーション・コメディのような作りになっている。

  • 次々と恋愛対象を変える母親
  • 年齢を偽って年上の成人女性と恋仲になる中学生の長男
  • 喧嘩に明け暮れるヤンキーな中学生の次男
  • 性同一性障害(あるいは男色)かもしれない小学生の三男

ここに母親の引き込んだ夫役の男が加わる。おそらく三兄弟の父親はすべて別人であろう。それぞれの性癖や行動、家族のありようを否定的に捉えたら、たちまち苦すぎる物語になってしまうところ、この映画では「生きとったらそれでええやん」という超ポジティブ思考で明るく逞しく突き進んでいく。大阪という街や人に対する世間一般のイメージに寄りかかりすぎではないかとも思ったが、タイトルに「大阪」を冠する以上避けられなかったのかもしれない。ただそれぞれのエピソードの掘り下げがいまひとつ浅くて、その点は食い足りなかった。全体としては破綻を来さず、下町人情劇*1としてきちんと収まっている*2
こういう標準語圏外の地域を舞台にしたときに、もっとも気になるのは俳優たちの話す言葉である。関西出身(または居住歴あり)の三兄弟と岸辺一徳本上まなみらの関西弁は安心して聞くことができた。松坂慶子加藤夏希は「関西人の物まねをする関東人」的な話し方で、少々落ち着かない。でも二人とも伊右衛門のCMをしている某女性俳優よりはずっと上手だった。シネスイッチ銀座*3で鑑賞。
  公式サイト http://www.osaka-hamlet.jp/

*1:舞台は住之江区らしい

*2:意外性はないけど

*3:http://www.cineswitch.com/