俺たちに明日はないッス

俺たちに明日はないッス デラックス版 [DVD]ここまでガツガツしていた覚えはないけれど、極端に誇張すればこうなるかと思わなくもなかった。男女の区別なく、下半身に思いを込めすぎる17歳たちが主人公である。さそうあきらの原作漫画を、タナダユキ監督が実写化した。
筋らしい筋はほとんどなく、高校生の放埒な妄想や中途半端に積極的な行動が淡々と積み重ねられていく。三組の男女の痴話のオムニバスのようでもあった。脚本は山下敦弘監督の「リンダリンダリンダ」や「リアリズムの宿」を書いた向井康介がものした。この年頃の不如意な思いを象るのをよくする。
いかにも低予算の映画でありながら、そういうことはどうでもいいと思わせるものがある。タナダは「百万円と苦虫女」では蒼井優に頼り切ったような演出をしていたけれど、ここでは「赤い文化住宅の初子」と同じく、映画全体の佇まいをきちんと作ろうとしていると感じた。