今日も今日とて京都

娘の所属する部の試合を西京極まで見に行く。なにしろ競技人口が少ないため*1、すぐに全国大会出場とあいなる。大阪代表として千葉県のチームと戦う。が、惜敗。初めて生で見たその競技はなかなかおもしろいものだった。
せっかく京都まで来たので、寺巡りをして帰ることにする。名刹を学び直す夏である。
まずは三十三間堂*2。群れなす仏像といえば、ここしかない。運慶の長男である湛慶の作である本尊千手観音やその脇を固める二十八部衆立像、風神雷神像の素晴らしさはもちろんであるが*3、ここの極めつけはその背後に居並ぶ千一体の千手観音であるのは間違いない。ミニマルの音楽を奏でるがごとき永遠の繰り返しに言いようのない陶酔感を味わう。よく見ると、一体一体の姿形が微妙に違う。そのわずかなズレが倍音を生みより豊穣な響きを生み出しているようだ。ここは常に何体かが外部に貸し出されているようで、湛慶の手になる三体が「出陳中」とあった。こんなことばがあることを初めて知る。なんか可愛い。ここの仏像だけをまとめた写真集を手に入れる。
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すでに気分としては満腹気味になりながら、次の東福寺*4を目指した。徒歩で約20分ほど南へ下る。蒸し暑くてやりきれない。しかし、この寺の壮大な室町建築群を見ると、気分もすっかり晴れた。ここでは重森三玲の手になる方丈八相の庭をまず愛でる。建物の東西南北それぞれの庭にテーマがあり、まったく異なる表情を見せる。イサム・ノグチが「モンドリアン風」と激賞した北庭の市松模様にとりわけうっとりする。またちょうどこの夏の間だけ公開されていた大明国師足利義満縁の龍吟庵(国宝・現存最古の方丈建築)の庭も素晴らしかった。さらに今月末まで公開の三門(国宝・現存最古、最大の三門)も運良く見ることができた。楼上の天井や梁に描かれた極彩色の絵を楽しんだ。
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今日の締め括りは東寺*5である。私には「ザ・京都」という印象がある。国宝だらけのこの寺では講堂に安置されている立体曼荼羅と呼ばれる21体の仏像群に酔いしれた。空海密教の教えを絵ではなく立体として再現するというとんでもないコンセプトで作られている。本尊を含め、大きなものはややステレオタイプな造形でいまひとつ面白味に欠けるのであるが、回りを取り囲むように立ち並ぶお付きの像たちが独自の存在感を主張していて楽しい。時代が下るにつれて、如来や菩薩あたりのトップクラスの仏像はどうしても類型化からは逃れられないようだ。この寺の国宝を一冊にまとめた図録を買い求める。
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歩き疲れた足を引きずりながら京都駅に戻り、ビックカメラで今日発売になったMacの新しいOS「Snow Leopard」を購う。早くインストールしてみたいけれど、お楽しみは東京に戻ってから。

*1:歴としたオリンピック競技である

*2:三十三間堂 http://sanjusangendo.jp/

*3:いずれも国宝

*4:東福寺 http://www.tofukuji.jp/index2.html

*5:東寺 http://www.toji.or.jp/