小さくても確かな不幸

morio01012009-08-31

東京へ戻る。折悪しく台風が関東に最も接近する時間に新幹線を取ってしまっていた。新幹線の運行そのものには影響はなかったものの、渋谷から乗ったバスを降りることには傘を支えるのもやっとなほどの風雨となっていた。這々の体で家に逃げ込む*1。夕食の買い出しをして戻るつもりがそれもかなわず。
六時過ぎから小雨になったので、晩ご飯を食べに出かけた。
食事がすんで店を出ようとしたところ、差してきた傘が見当たらない。どうやら間違えたのではなく、盗られたようである。なにしろ店の客の傘を引き算したら、何も残らない。盗った野郎の顔はわかるが、どこのどいつかはわからない。店の人が恐縮してビニール傘をくれたけれど、見ると腹立たしさがぶり返してくるので、早々に処分したい。
あの傘には爆薬が仕込んであって、時間が来たら自爆するのです、などという梶井基次郎の万分の一くらいの小心であやしい妄想をしてみる。小さくても確かな不幸。傘一本ですんだからよしとすべきか。

*1:バス停から徒歩五分でしっかり濡れ鼠