のだめカンタービレ最終楽章 前・後

のだめカンタービレ(24) (KC KISS)昨年末に公開された前編に続いて、この連休に合わせて後編が封切られている。
原作漫画の世界を実写でうまく表現した作品として、テレビで放映されていた時から好評を博していたものであるから、映画になっても安心して見られる。もっとも「映画」でやる必要があるかどうかは、また別の問題であるが。しかしながら、海外編を毎週のテレビドラマとして放映することは無理なことであり、これはこれで必然的な帰結なのであろう。潤沢な予算を裏付けるかのように海外の豪華なホールが出てくるのには驚かされる。ムジークフェラインザールとかスメタナホールとかもうやりすぎである(褒めてます)。
ドラマ部分は漫画を意識したハチャメチャなものとなっても、肝心の音楽の場面になると、ぐっと物語が引き締まってくる。バッハ、モーツァルトベートーヴェンブラームスチャイコフスキーシューマンショパン、ラベル、ガーシュウィンその他の名曲に彩られた映像は、それだけで大いなる力を発揮する。俳優らのおふざけやあざとい演技も「のだめ」ではすべて許される懐の深さを感じる。ただし「吹っ切れたキレのよさ」みたいなものは、スペシャルドラマや映画よりも最初のテレビドラマが圧倒的に勝っていたと思う。
俳優達もまたこの物語をよく理解し愛しているのであろう、彼らの一挙手一投足が実に楽しそうに映る。とりわけ主演の上野樹里玉木宏はもはやこの二人以外には考えられないほどのはまり役となった。いよいよこれでフィナーレかと、少々寂しく思うのだけれど、なんと原作では「オペラ編」が番外編として描かれている。これはまたいつかどこかで、とつい期待してしまう。渋東シネタワーで鑑賞。