イノセンス

イノセンス スタンダード版 [DVD]wowowが「ジャパンクールアニメ」と題する特集をしていて、押井守監督の作品をあれこれ放映していた。せっかくなので、細かいところを忘れかけていた「イノセンス」をあらためてゆっくりと見返してみた。
台詞がとても多い。しかも哲学や文学の箴言をやたらに引用するため、難解で一度では理解できない。また現実の場面とハッキングされた仮想空間が入り交じって現れたりもする。ついていけなくて、もとに戻ってもう一度見直す。衰えた我が脳みそを恨めしく思うばかりである。
この映画で語られるアイデンティティや個人の尊厳、身体と心のありようなどに関する濃密な議論は、やがてそれらを享受者、鑑賞者にほぼ丸投げしてしまう「スカイ・クロラ」に昇華していくことになる。迷宮への入口が一つでなければならないということはない。
気持ち悪いという評価があるようだが、映像と音楽*1もとても美しいと思った。