借りぐらしのアリエッティ

借りぐらしのアリエッティ サウンドトラックジブリが若い監督を起用して新作を発表した。頑迷で説教臭くなってしまった宮崎駿ではないので期待できると思って観た。かつての名作群よりずいぶんこじんまりとした映画*1ではあるものの、近年の「ハウルの動く城」「ゲド戦記」「崖の上のポニョ」などよりははるかにまともな作品になっているのではないか。
ジブリのアニメの特徴の一つに空を飛ぶ爽快さがある。ナウシカ、パズー、トトロ、キキ、ポルコ、千尋、皆、気持ちよく空を飛んでいる。それがアリエッティでは空を飛ぶ代わりに地上10センチを疾走して目を悦ばせてくれる。そんな低い位置から世界を見ない私たちにとって、知っているようで知らない風景が広がっていた。おもしろい。
細かく描き込まれた欧州風の建築や調度品、緑と赤の補色を最大限生かした画面、まろやかなケルトハープの音色など、どれも酷暑を忘れさせる心地よさがあった。なによりナウシカ以来連綿と連なるジブリの少女らしい強い心をもつアリエッティがとても好もしく感じられた。周辺の人物ではハルさんとホミリーがよい味わいだった。ワーナーマイカルシネマズ茨木で鑑賞。

*1:物語も思想も。足りないのはたぶんスケール感だろう。