パーマネント野ばら

ああそういうことだったのかと、最後の方でようやく気がついた。気付くのがきっと遅すぎる。実は怖い話だった。
離婚して子連れで出戻ってきた若い女性の生活がコメディタッチで描かれる。男性はほとんど出てこない。女性たちはそれぞれが快活に振る舞ってはいるものの、決して揺るぎない幸福を手に入れているわけではなく、むしろどこか陰を引きずっていることがはっきりとうかがえる。まるで人生には不幸がべったりとはりついているのですよと言わんばかりである。そう見えた。女性であることの不条理、やるせなさが強く印象づけられるのは、西原理恵子の原作の力なのだろうか。
菅野美穂には格別の思い入れなどなかったけれど、上手な人だと初めて感じた。彼女の友人を演じる小池栄子池脇千鶴も芸達者なところを見せる。吉田大八監督は「腑抜けども、悲しみの愛を見せろ」でも女性のある側面を痛々しく写し取っていた。今のところはそういう方面が得意なのかなと思う。所々で差し挟む種明かし的な映像は余分かと。
 公式サイト http://www.nobara.jp/
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