役者は揃った。

morio01012011-05-11

傘を差して上野へ。東洲斎写楽の特別展にでかける。雨の平日の夕方、東京国立博物館*1は人少なで快適だった*2
もともとは4月から5月に催される予定だったものが、震災の影響でひと月遅れの会期となった。写楽の活躍したわずか10ヶ月に残されたほぼすべての作品(約140図)が網羅されるという、たいへん豪華な展覧会*3である。
誰もがよく知る有名な作品から、あまり見る機会のない、特に後期の評価の低いものまでもが一堂に会している。写楽の前時代の役者絵、同時代のライバルとの比較、蔦屋重三郎との関係など、写楽と関わりのある絵師や周辺の人々をも取り込んで、厚みのある展示になっており、単に「全部集めて時系列で並べてみました」になっていないところがよかった。もっとも展示のあまりの多さゆえ、最後の方はすっかりくたびれてしまった。贅沢な繰り言である。
ともあれ、これほどの規模の写楽の企画展は今後なかなか実現することはないと思われる。謎解きなどでよく騒がれる写楽であるが、作品の全貌を丸ごと堪能する機会は多くない。江戸絵画ファンはぜひ。6月12日まで。

*1:http://www.tnm.jp/

*2:たまに訳知り顔で解説する紳士淑女の大きな声には辟易する

*3:http://www.tnm.jp/modules/r_free_page/index.php?id=706