見るところは一つ
当選確率50倍、100倍をくぐり抜け、四十八人衆の本拠地公演のチケットを幸運にも得る。もちろん指原さんの所属するチームA公演である。
本拠地劇場の定員は250名ほどである。そのうち着席できるのは三分の二くらいで残りは後方での立ち見となる。若い者もおっさんも女の子もヲタも密集した状態で狭いところに詰め込まれ*1、そのまま二時間を過ごす。
客席間近にステージがあり、太い柱が2本、視界を大きく遮っている。全体的に安普請でちっともお金がかかってない。しかし、それが妙な高揚感を生んでいる。場末の小劇場としかいいようのない舞台に大音響が轟き渡り、着飾ったアイドルが歌い踊る*2。半端ないライブのノリと一体感、アングラ感に圧倒され、身も心も痺れる。こりゃ中毒になるわ。このグループが5年半で徹底的に叩き上げられてきたことが、劇場公演を体験することでよくわかった。単に可愛らしい女の子を強引にテレビの世界に押し込んで売ったわけではない。
AKB48 teamA 「目撃者」 AKB48劇場@秋葉原 2011年6月15日
大家志津香・片山陽加・倉持明日香・指原莉乃・高橋みなみ・仲谷明香・前田亜美・松原夏海・市川美織・大場美奈・島田晴香・永尾まりや・阿部マリア・入山杏奈・川栄李奈・藤田奈那
今日の公演には前田敦子も篠田麻理子も小嶋陽菜もいない。彼女たちは個人の仕事が忙しいようで、本拠地公演にはなかなか出られなくなっている。こうした一部のスターは、もはやこのグループのコンセプトである「会いに行けるアイドル」からは、少々ずれてしまったことは否めない。teamAはメディア選抜*36名を擁する「銀河系軍団」であるが、この日に限れば、高橋、指原の二人だけで、残りは後ろの方にいる人たちと休演の穴埋めをする研究生*4で占められている。ただし、公演そのものを考えた場合、動きにキレのないビッグネーム*5より、溌剌とした歌や踊りを披露する研究生たちの方がよほど楽しめる。いずれも将来を嘱望されるメンバーばかりで、期待に違わぬパフォーマンスを見せていた。
そして指原さん。この日の公演では高橋みなみとの二枚看板となる。際だった存在感で八面六臂の大活躍であった。四月の公演より確実に前、真ん中にきているように思ったのは気のせいではないだろう。9位という総選挙の順位とは関係なく、彼女のグループ内での立ち位置は確実によくなっていることがうかがえる。これまでテレビ出演時でも「ウォーリーをさがせ」ならぬ「指原をさがせ」が、ファンの間の共通認識であったのに、もはや探さなくとも目に入るところにまで出てきている。ありがたや。俺得。また行こ。