三年身籠る

唯野未歩子もお気に入りの俳優の1人である。飄々としながら芯や品を失わない演技が好ましい。何より才気煥発。その唯野が初監督をした作品(脚本も担当)をようやく見ることができた。タイトル通りの内容であるが、主人公*1が3年間身籠もることの象徴的な意味を深く考えさせるでもなく、かといってコメディタッチで洒落のめすわけでもない。特異な事態に周囲の翻弄されるさまがナンセンス劇風に描かれるだけでは、少々物足りない。
自らの身体で親になることを感得する女性に対し、男性はどこか他人事のようなところがある*2。その覚悟を男性に強く自覚させる(=親として成熟する)ためには10か月では短い(3年はたとえばということだろう)という作品の無言の主張は伝わってくる*3。食事のシーンが多いのは、その行為が「生」そのものを支えていることを印象づけるためか。作りが作りだけに*4、もうちょっとファンタジックな方向に振って見やすくしてもよかったのではないだろうか。佳作未満?
公式サイト http://www.threeyeardelivery.com/

*1:オセロの中島知子が好演

*2:一般論として

*3:親になるということ以外にも、まっとうな家庭人として存在するために

*4:ピラミッドのような腹!