上原ひろみ&熊谷和徳

morio01012006-12-23

今年の東京生活の締めくくりは上原ひろみ(ジャズピアノ)と熊谷和徳(タップダンス)のコラボである。秋にチケットが発売になったときには今ひとつそそられるものがなかったのに、矢野顕子との共演、ソロ公演を立て続けに観て、「タップダンサーとの共演だと何を弾くのだろう」とやっぱり聴きたくなったのであった。チケットはいつものように「大人の事情」で獲得する。
会場の恵比寿ガーデンホールは東京都写真美術館の横にあって、東京の地理に疎い私でもここはまっすぐ迷わず辿り着けた。さすがにクリスマス直前のイベント、少々お高い料金、さらには年齢高めの観客層などから、アダルトムード満点の落ち着いた雰囲気が会場を包みこんでいる*1
まず第1部、約50分間途切れることのない即興演奏とダンスに圧倒される。凄いとしか言いようがない。もちろんいくつかの約束事はあるのだろうが、ピアノとタップによるスリリングなアドリブの応酬は、一時も目を離すことができなかった*2。パフォーマンスを終えた二人がステージ中央に来たときに、観客の多くは「え、もう終わり?」と感じたらしく、そのような反応が起きたのだが、1時間弱がまるで15分間くらいのことのように感じられるほど、みっちりと中身の詰まったものであった。
第2部は上原、熊谷のそれぞれのソロに続いて、有名なジャズやクラシックのフレーズを引用、展開しながら*3、またしてもアドリブの応酬が繰り広げられる*4。二人の自由な発想や想像力、さらにはそれを現実のものとする高度な技術に、ただただ酔い痴れ舌を巻いた*5。アンコールではコルトレーンの「ジャイアント・ステップ」とクリスマスソングを披露し、大喝采を浴びながら幕となった。
恵比寿から品川に急ぎ移動し、最終前ののぞみに飛び乗る。満たされた気分のまま、深夜に大阪に戻ったのであった。
L'ULTIMO BACIO 公式サイト http://lultimo.jp/bacio2006/

*1:先日の安藤裕子のライブとはまるで違う。もちろんどっちがいいとかではなく。

*2:いつもと同じく上原の弾く姿もタップダンスに勝るとも劣らないほど激しい。

*3:ほとんど「のだめ状態」である!?

*4:原曲を知っているとよりいっそう楽しめるだろう。あたかも和歌の本歌取りのごとし

*5:上原がタップ寄りにリズムやテンポで遠慮している感じがあるのはいたしかたなしか。