瀬尾まいこ『幸福な食卓』

映画と原作の違いが気になるので、遠い方の職場に行く前に鶴川駅前の書店で買って読んだ。結論。なんで小説のように脚本を作らないのだ。小説だときちんと家族の物語になっているし、父も母も兄も一人の人間として描き込まれている。それらが映画ではすべて薄められ、結局「泣ける話」だけが抜き出されているではないか。もちろん映画と小説は別物だから、同じにする義務などない。しかし、脚本家が「泣かせる話にしない」と言ったのである*1。それなら方向が違う。映画の主題歌にMr.Childrenの「くるみ」を選んだ時点でもうそういう色になるしかなかったのだろう。北乃きいがよかっただけに残念だ。もう一冊。五十嵐太郎『現代建築に関する16章』(講談社現代新書)。頭のよい人が書いた気の利かない建築入門書である。建築にまつわる固有名詞や外国語をそのまま片仮名にしただけの専門用語が、なんの説明もなく多用される。読者(建築部外者)を突き放すにはよい方策だ。もちろん褒めてません*2

*1:前日の記事参照

*2:内容はとても興味深かった