マッチポイント

先週、東京でDVDを借りて見たのに、つぶやくのを忘れていた。
元プロテニスプレーヤーが引退後にうまく上流社会に迎え入れられるが、義兄の元婚約者との秘められた関係から抜き差しならない立場に追い込まれていく。家庭内でドロドロとした猜疑心はまったく描かれることがなく、善良で素直な人々はひたすら婿殿を信じもてはやすのみ。表面上は総じて静かで穏やかな時間が流れていく。それに対し、浮気相手との関係ではこれ以上ないほどの激しく熱い痴話騒動が繰り返される。この二項対立は理性と本能の鬩ぎ合いという昔ながらの構図であり、目新しさはないものの奇を衒わない分落ち着いて物語の展開に身を委ねられた。
ウディ・アレンの脚本は機知に富んでいた。会話や音楽も洒落ている。人生を決定づける運命のありようをテニスのボールの動きに模したところはおもしろいし、何より結末部分に深々と関わっているところは唸らされた。指輪が手前に落ちたということは……。俳優も手練れの面々が揃っていて、ちょっとした仕草や表情、目の動きで多くの情報を伝える。スカーレット・ヨハンソンは映画に出る度にエロ度が増していくなぁ。
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