字幕屋さんの苦労

外国語にとても弱い私は洋画を見るときに字幕を追いかけるのに忙しい。でも明らかに「それはどうなんや」「もっと何か言うてるやろ」と思うような字幕にイライラさせられることも少なくない。自分の語学力のなさを呪う瞬間でもある。
太田直子字幕屋は銀幕の片隅で日本語が変だと叫ぶ (光文社新書)』(光文社新書、2007年)を読むと、かの世界の裏事情を少しだけ垣間見ることができる。1秒間4文字の制限や禁句、タブーから来る言い換え、まったく知らない外国語の翻訳でも引き受けるなどというところから、先の私の印象の的外れではないことを確信するが、配給会社の無体な注文に合わせて創作したり、あろうことか時には物語の結末やテーマすら変更させられたりするなどというところにいたっては、大いなる悲哀や諦観を感じざるをえない。正義とか誠実の通用しないのはいずこも同じか。
今日も今日とてbk1から本が届く。仕事絡み以外では、昭和初期に建築家ブルーノ・タウトがベス単で撮影した日本の写真をまとめる酒井道夫・沢良子『タウトが撮ったニッポン』(武蔵野美術大学出版局)、バブル時代から現代までの日本の社会・風俗・世相などを広告業界4コマ漫画で描くホイチョイ・プロダクションズ気まぐれコンセプト クロニクル』(小学館)あたりがおもしろそうである。写真を特集する雑誌「TITLe (タイトル) 2007年 04月号 [雑誌]」は鶴川駅前の書店で買ってきた。
TITLe (タイトル) 2007年 04月号 [雑誌]
気まぐれコンセプト クロニクル
タウトが撮ったニッポン