絲山秋子『イッツ・オンリー・トーク』

絲山秋子の『イッツ・オンリー・トーク (文春文庫)』(文春文庫)を読み切る。軽妙な会話の応酬が心地よさを生む。映画「やわらかい生活」より主人公の気質がさっぱりしていた。やや粘着気味の寺島しのぶの味わいとは少しズレがある。従兄弟(豊川悦司)との関わり方や位置づけも原作と映画では異なっていた。それぞれが独自の物語を紡ぎ出している。だからタイトルが変わっているのかも。どちらもよいと思う。併録される「第七障害」は話を転がすのに忙しくて、いまひとつか。
ところで、絲山秋子の小説には車がよく出てくる。しかもかなりマニアックだ。この両作にはランチアイプシロンランチア・デルタ・インテグラーレ、いすず・ジェミニ、ホンダ・ビート。あとは痴漢の乗るオペル。デルタやジェミニって往年の名ラリーマシンなのだが、この人はラリーファンなのだろうか?
金井美恵子の『タマや (河出文庫)』(河出文庫)を買ってきた。大佛次郎の『猫のいる日々 (徳間文庫)』(徳間文庫)は見つけられなかった。