無教養な私

旧制中学入試問題集 (ちくま文庫)仕事帰り、荷物にならない程度に新刊本をあれこれと仕入れる。
はじめての文学 川上弘美』(文藝春秋)、武藤康人『旧制中学入試問題集 (ちくま文庫)』(ちくま文庫)、谷川俊太郎詩ってなんだろう (ちくま文庫)』(ちくま文庫)、島本理生生まれる森 (講談社文庫)』(講談社文庫)、『日本語の歴史〈4〉移りゆく古代語 (平凡社ライブラリー)』(平凡社)、荒木経惟写真への旅 (光文社文庫)』(光文社文庫)。
文庫化されたアラーキーのデビュー作もわくわくさせられるが、なんといっても『旧制中学入試問題集 (ちくま文庫)』が興味深い。明治・大正・昭和初期の頃の小学生の教養の幅広さと深さに仰天する。まともに答えられない問題があまたあり……。中には「なんでこんなのが入試に?」「この問いかけ方はどうなんだ?」と思うようなものもあって、それはそれで楽しめる。

次の候文を女らしい言葉づかひの口語の手紙に書きなほしてごらんなさい。
何分田舎にて万事不便には候へども若し御光来相成候はば及ぶ限りの御便宜相計り申すべく候。(東京府立第八高等女学校・昭和五年・国語)

候文の難しさもさることながら、ジェンダーの問題についても深く考えさせられるぞ。

若し我国が世界から経済封鎖を蒙るとしたら、私共は一番何に苦しむでせう。そしてその苦しみをどうして切りぬければよいでせう。(成女高等女学校・昭和八年・歴史地理)

二一世紀の日本の小学生はこういうことを考えているのだろうか(もちろんいい悪いや適切不適切は別にして)。
後半には宮沢賢治宇野千代吉川幸次郎らが受けた入試問題(学歴を追いかけている)も掲載されている。よく集めたなぁと感心することしきり。