きみにしか聞こえない

あまりにもいい天気だったから、自転車に乗って針穴写真でも撮りに行こうと目論む。ところが、あまりにも暑くて、結局涼しい映画館に避難する。弱虫。成海璃子の新作が公開される日でちょうどよかった。「きみにしか聞こえない」は「神童」「あしたの私のつくり方」に続いて今年三本目の主演作である。
 以下ネタバレあります。
幼少時の体験から人とうまくコミュニケーションが取れなくなってしまった高校生(成海)が、ふとしたきっかけから遠く離れた聾唖者(小出恵介)とテレパシー*1で会話を始めるようになる。成海はほとんどが一人芝居で、会話も見えない相手としなければならないのだが、青年とのやり取りを通して徐々に成長していくところを、目の力や立ち姿の変化でしっかり表現していた*2。しかもあざとさがない。これで14歳(撮影時)というのだから驚かされる。前半の制服から後半の私服への切り替えも、少女の成長を如実にうかがわせる仕掛けとしてうまく機能していた。また聴覚が重要な物語ゆえ、自然の音を活かした効果音、とりわけ風の音が印象的である*3。純愛ものにつきものの「美しい自己犠牲」「哀しい結末」「少しだけ明るい未来」はお約束で、そこのところで好き嫌いが分かれそうな気はする。そこだけは「今時の」としか言いようがない。ワーナーマイカルシネマズ茨木で鑑賞。
 公式サイト http://www.kimikoe.jp/index.html
映画を見終えた後は、太陽の塔を見るべく、少し回り道をして家に帰る。まったく人のいないエキスポランドはほんとうに寂しい感じがした。
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*1:映画では脳内携帯という形を取る

*2:映画が明示的にそれを見せるのは国語の授業での朗読シーンだ

*3:海・青の横浜と山・緑の長野の視覚的な対比もあり