狩野永徳に酔う

morio01012007-10-30

平日午前中なのに入館50分待ち。まだ会期半ばだというのに、この調子では終盤はたいへんな騒ぎになりそうな予感が。若冲越え*1なるか。
などというどうでもいいことはさておき、行ってきました。狩野永徳展。この秋の私的重要イベントの一つである。なにしろ日本美術を代表するほどの著名絵師*2でありながら、これまで主要作を集めた展覧会が一度も開かれていないのである。今回は永徳の手になる国宝はもちろん、狩野派に縁のある他の国宝、重文の類も一堂に会している。
平均年齢還暦オーバー間違いなしの館内を突き進む。第一室から「花鳥図襖」「琴棋書画図襖」「竹虎図壁貼付」といきなり国宝三連発乱れ打ちである。思いのほか人が群がっていないのは、部屋全体にゆとりがあることと、入場させる人数の調整がうまくいっているからだろう。ほんの少し待てばガラスにへばりついて鑑賞することもできた。しかしながら、こういう場では微に入り細を穿つほどの鑑賞はなかなかできない。他の人の迷惑にもなるし。やはり現物でしか味わえないスケール感とか色彩の煌めき、存在感といったものを楽しむことになる。
今さら永徳について得々と語ることも憚られるので、すべて省略に従う。二度目の対面となった上杉本「洛中洛外図屏風」はさすがに一番人気ですさまじい人垣ができていたけれど、臆せず突撃し*3、じっくりと見ることができた。「檜図屏風」や「唐獅子図屏風」などもやはりいい。とりわけ瀟洒で可憐な「花鳥図押絵貼屏風」の緻密な筆遣いにうっとりする。ああ、キリがない。国宝、重文以外の作品の前には誰もいないということもあり、「あまり有名ではない、でも俺様は気に入った」というような密やかな愉悦を味わうことができた。
ちなみに京都限定である。11月18日まで。京都国立博物館。なお三年後の春には長谷川等伯展が開かれると予告されていた。これも!
狩野永徳展公式サイト http://eitoku.exh.jp/

*1:2007年5月、承天閣美術館における若冲展の最終日は6時間待ちだったらしい

*2:絵画の領域で複数作品が国宝に指定されている日本の絵師は、雪舟狩野永徳長谷川等伯俵屋宗達尾形光琳池大雅の6名のみ

*3:割り込んだわけではない