キャラ化する日本の巨匠

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8日から東京国立博物館*1で始まった「対決 巨匠たちの日本美術*2」を観てきた。もう贅沢すぎてお腹いっぱいになるくらい盛りだくさんな展覧会だった。
たとえて言うなら、人気ミュージシャンが勢揃いした捨て曲なしのオムニバスベストアルバムという風情である。どの作家も国宝や重文の一つや二つ、いや、三つ四つ五つ……(キリがない)、と指定されている。それらの名品がごろごろぞくぞくと居並んでいるのだ。息つく暇がない。しかも対決と銘打っているだけあって、各作家の個性が際立つようにキャラクター化されており*3、「古臭く退屈なもの」と一括りにされてしまいがちな日本美術のおもしろさをうまく演出していると思った。近年の日本美術ブームをうまく捉まえた好企画だと思う。なんたって作家のイラストの缶バッチまでがちゃぽんで売っているのよ。
いずれ劣らぬ人気者,実力者だし、優劣などもちろんつけられるはずもない。個性の違いを楽しむ、お気に入りの作家、作品を存分に味わうなど、至福の一時を過ごすことができるだろう。私がうおぉと思ったのは、運慶vs快慶の重文菩薩対決、永徳vs等伯の国宝屏風対決*4、光悦vs長次郎の重文黒楽茶碗対決、応挙vs芦雪の猛虎対決*5歌麿vs写楽の大首絵対決などであるが、個々の作品でもその場を離れられないような名品がたくさんあって、どうにも嬉しくて困ってしまった。図録は日本美術の入門書として至便。8月17日まで。

*1:http://www.tnm.jp/jp/

*2:http://www.tnm.jp/jp/servlet/Con?pageId=B01&processId=01&event_id=5315

*3:この作家をキャラ化している点は賛否両論あるだろうが

*4:楓図と松林図で圧巻!

*5:日本の虎の絵は誰が描いても猫にしか見えないのがお茶目である