リアリティのない極彩色な世界

IMG_0295望みもしない委員会の構成員として、どんどん変な会議に巻き込まれる今日この頃、本日もしっかりみっちり閉じ込められた。ぐったり。それでもなんとか夕方の早い時間に解放されたので、気晴らしに初台までtikitで走ることにする。東京オペラシティアートギャラリーで開催中の「蜷川実花展ー地上の花、天上の色ー*1」を観るのだ。
1995年のデビューから未発表の最新作まで集めた初めての回顧展である。東京を皮切りに1年かけて全国を巡回するという。これまで新作が発表される度にさほど大きくないギャラリーで個展を開いていたけれど、今回は規模がまるで違う。なにしろ大小合わせて500点もの作品が展示されているのである。
蜷川の写真はとかく派手な色彩ばかりに目を奪われがちになるが、むしろ何を撮っても無機的かつ非現実的な存在に読み替えてしまうところにその本質があるのではないか。生々しいはずの街角スナップ写真すら作り物臭い世界から切り出したかの印象を与える。しかし、そのありようは決して否定的に働くことがなく、むしろ誰にでもできそうでできないあの独特な「ニナミカの世界」になっていると思う。9つのテーマに区分けされたどのフロアでも、不思議な高揚感を味わうことができた。図録も安価で秀逸な出来映えである。
と、ちょっと真面目に語ったところで、この展覧会自体の感想なども。客筋が普通の写真展とはまるで違う。「カメラが趣味です」オーラが隠しようもなく漏れているような人は少なく、「綺麗なものが好き」だと言いそうな身なりのよろしい洒落た女性客が圧倒的に多い。あ、これ以上語るとおかしな方向に進みかねないので、含みを持たせて本日は終了。
追記:蜷川実花展のフロアの上階に展示されていたましもゆきの作品にぐっときた*2。マンガと日本画の融合。