罪とか罰とか

morio01012009-03-20

ケラリーノ・サンドロヴィッチ成海璃子を使ってドタバタコメディを作る。
映画全体を支配するのは現実にはありえない不条理な突出感、あるいは倒錯した世界観である。この逸脱っぷりを喜べるかどうかでこの映画の評価は大きく変わるだろう。そういう意味では非常に文学的な作品*1である。ただコメディとして「笑い」がしっかり保証されているかと言えば、その部分は微妙……。肝心のブラックなユーモアらしきものが空振り気味なのは辛い。クスッはあっても、ドカンはない。
成海璃子はぱっとしないB級グラビアアイドルを演じるのであるが、それをはっきりわからせるために二重顎になるほどの肉を身にまとっているのであれば、プロの凄みを感じさせる徹底した役作りとして褒め称えたい。しかし、単に「成長してしまった」ということなら、成海自身が「崖っぷち?」と思ってしまうような鈍重な印象を受ける。しかもビジュアル面のキレのなさは演技自体にも影響を及ぼしているように思われた。「神童」以来のファンとしては少々心配である。一方、成海扮する一日警察署長に成敗される大倉孝二奥菜恵らの頭の悪そうな強盗団はとてもよかった。シネマライズで鑑賞。
  公式サイト http://www.tsumi-batsu.com/

*1:よく言えば、である