文字通り隠れた太陽

安閑なはずの水曜日に新たな会議が入る。急に降ってわいた新しい役職が足枷に化けた。日食でも見て、少しでも和んでから行こうと思っていたのに、厚い雲の向こうの太陽はついに姿を見せずじまいに終わった。日食の風景を針穴で撮る野望はついえた。NHKの中継をちらちらと眺めていたら、これが思いの外よかった。YouTubeにその番組が公式に投稿されて、人気を博している。

海の風景がすばらしい*1
予定より早めに終わった会議に感謝しながら、新幹線の人になって大阪に戻る。オノ・ナツメ『Not simple』と小野正弘『オノマトペがあるから日本語は楽しい』(平凡社新書)を読む。予備知識なしで『Not simple』を読んだのだが、殺人、売春、男色、近親相姦、エイズなど、少し前のケータイ小説も吃驚というような内容であった。ただ決定的に違うのは、オノは作品をお涙頂戴に貶めず、ありえる事実として冷徹に描き抜こうとしている点である。もっともこの作品でオノが何をやりたかったのかは、今ひとつ判然としない。

*1:見所をやや誤っている