崖の上のポニョ

崖の上のポニョ [DVD]「大ヒット上映中」からちょうど1年後、自宅で密やかに観た。そして最近のジブリはどうも好みに合わないことをあらためて確認した。
宮崎駿というビッグネームを前にして、ファンを公言し賞賛してやまないか、それとも大衆と自分は違うのだと格好をつけるのか、世間をくるくると見回していると、たいていどちらかに分類することができるように思う。
で、お前はどうなのだと問われると、ナウシカ、紅豚、トトロ、魔女宅には全面降伏し、ラピュタ千尋もののけ姫は悪くはないけどと答え、ハウルはもうけっこうという感じになる。当たり前のことだけれど、個々の作品に対して感動したり、つまらないと思ったりするわけであって、宮崎駿だからどうこうというのはない。そしてポニョはハウルよりまし、もののけ姫には及ばずという「ブービー賞@俺ランク」の位置に収まった。
公開当時、今時珍しい手描きによる絵の美しさが喧伝されていた。確かに手描きならではの味わいはある。しかし、どこまでもそれは手段であって、物語の質の保証にただちに繋がるわけではない。ライカやローライ、ハッセルを使ったからと言って、誰もがブレッソンやエルスケンになれるわけではないし、モレスキンを持ったところでヘミングウェイピカソのような閃きをにわかに得られるはずはないのだ。
そういえば、この映画の主題歌を歌っている女の子からも「こども店長」と同じ臭いを感じて、落ち着かない気分になっていたのを思い出した。それにしても登場人物たちはあれほどの壊滅的な津波に襲われて、なぜあんなに暢気にしていられるのだろう。不思議。