空気人形を探す

穏やかな天気に誘われて、自転車で走り回ることにする。
深大寺*1にある関東最古の仏像を見に行くつもりにしていたのだが、11月末には25年ぶりに秘仏を公開するようで、その時に行く方が見学にはちょうどいい。それで是枝裕和監督の映画「空気人形*2」のロケ地を探しに行くことにした。往復で30キロくらいになる。目的も距離も緩いポタリングにはもってこいだろう。
ポケロケで出撃する。週末の東京は幹線道路でも交通量が少なくて走りやすい。iPhoneのマップを使いながら、目的地*3をひたすら目指した。
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勝鬨橋から聖路加病院方面に向かい、さらに北上すると、見覚えのある風景が広がり始めた。昼間であるのにあたりにはほとんど人気がない。「空気人形」の映画そのままの空気感が街全体を包み込んでいる。いや、この街の気配があの映画の通奏低音となっているというべきか。
ペ・ドゥナ演じる空気人形がさまざまな知恵を得る重要なシーンに使われていた空き地を見つける。一番来てみたかった場所である。彼女の座っていたベンチに腰掛け、しばし何も考えずに目の前の大きなビル群を眺めていた。こちら側の建物は総じてずいぶん前に建てられたもののようである。隅田川を挟んで向こう側は別世界であるかのように感じられた。是枝監督はこちら側に留まるしかない空気人形のありようを彼我の対比で比喩的に表そうとしたのか、などと想像を逞しくしてみたりもする。
world's end girlfriendのサントラを聴きながらベンチで30分ほど休む。それから静かな街を縫うように走ってみた。空気人形の家のある路地や前を通り過ぎていた交番なども見つけられた。ARATAが働いていたビデオショップは見当たらなかった。撮影自体は一年前のことなので、もしかすると、もうなくなってしまったのかもしれない。
もう一度、あの映画を観たくなった。そして針穴カメラを持って、またここに行きたいと思う。
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